2013年4月26日金曜日

Garminの画面表示考

普段から、練習・レース共にGarmin Edge 800Jを利用しています。昨年半ばから使い始めたのですが、画面表示するに関する考え方が固まって来ました。

まず、これが普段練習するときの基本画面。時間、速さ、距離、パワー、ケイデンス。800Jは画面が大きいので、五つの指標を表示しても見やすい。それぞれの要素に関して、必要なテーマをもって練習します。




これがレース中の基本画面。ポイントはパワーとケイデンスの要素を減らすこと。余分な情報を抜いて、減らすこと。

パワー・ケイデンスを表示しながらレースをやっていた時期もあるのですが、レース中だと練習中にはありえないような、パワーをぽんぽん出さなくてはならない場面があり、それは大部分が耐えきれるわけなので、時間としては短いのですが、いちいちそれを見ていると精神衛生が大変良くない。おいおい、これを繰り返していると死ぬんじゃないか、という心理が働いてしまいがちです。

また、自分がだいたいある出力でどれぐらい耐えられるか。。。というのが経験としてあるわけですが、レースだと結構そのギリギリを頻繁につくんですよね。これも精神衛生上良くない。頭で考えるとひよる。

で、情報を絞る。五感による周囲の情報と、体感だけで、なるべく走る。しかも混戦気味の時ほど、できるだけ何も考えずに、身体がオートマチックに反応するのに任せる。計算すべき要素が多すぎる時には、脳の直感の方が良い仕事をしてくれます。きちんと頭がレースモードに切り替わっていれば、驚くほど正確に本能は限界を知っている。




しかしながら、レースにおいても注意すべき要素が絞られる時があります。長い上りと、安定したエスケープに入った時です。

長い上りだと、ブローアップしないように、身体能力いっぱいいっぱいを使ってついていくことが重要。安定した逃げに入った時も、一定のインターバルで無理のない出力を突くことが重要。こういう時にはパワーを出します。よって、二番目のタイマーページはパワーが用意してあって、指でちょいとフリックしてやると画面が切り替わります。

ケイデンスについて考察するのは例によって思考を取られすぎるので、本能に任せます。

ちなみに、SRMモニタなどを使っている選手だとパワーを消すことができないので、パワー表示部にビニルテープを貼っている選手を結構見ました。(BMCの選手とか)


2013年4月23日火曜日

Brugge ブルッヘ

前期ヨーロッパ遠征の最終日に、拠点のオウデナールデから北上してブルッヘ(Brugge)という街に当チームGM(アメリカ人)、徐剛(中国人)、自分(日本人)、という組み合わせで行って来ました。ベルギー版「水の都」であり、運河と多くの橋、歴史ある街並みは世界遺産にも登録されています。

ロードレースにおいて重要なのはロンド・ファン・フラーデレン(ツール・ド・フランドル)のスタート地点であること。この街にある広場をスタートしてから南下し、オウデナールデ周辺の石畳を急坂をめぐってオウデナールデ市街にゴールします。


GMと私。GM、巡航300W出てます!(マジで)

 徐剛@Brugge



 運河は観光船が出ており、盛況でした


 徐剛と


 ロンドのスタート地点広場。この日はオーケストラの演奏があった


 広場にある、立派な建物



 移動式遊園地(ケルメス)も盛況


行き帰りのルートの小道

束の間の観光でありました。

2013年4月21日日曜日

探検者であること ー トレンティーノを通して


一昨日に「ワールドツアーの中のレース(グランツール、etc.)を除くと最もハードなんじゃないか」(byチームメイトのクリス・バトラー談)といわれるジロ・デル・トレンティーノを完走しました。4日とさほど長い日程でもないながら、2日が山頂ゴール、残りの2日もきつい山岳を含むレースで、クライマーたちがジロの調整に利用するレースです。

photo by Cyclowired



チームとしては、徐剛(Xu Gun)の第1ステージ敢闘賞&8位、第2ステージでグレゴーのエスケープ、そしてクリスが総合18位(バッソやペリゾッティらよりも前)で終えることができ、一定の存在感を示すことができたと思います。地味ですが。。。

僕のハイライトとしては、第3ステージ、序盤から凄まじくペースが上がった最初の2級山岳で、いきなり50人ほどにプロトンが絞り込まれた際に生き残り、クリスのアシストをきっちり続けられたこと。チャンピオンシステムで先頭集団に生き残ったのはクリスと僕の2人だけで、ボトル&食料をチームカーから配給、位置取りの風よけなどをうまく単独でこなして、クリスを最後まで先頭集団に残すことに成功。クリスが単独になって、中盤力を使い果たしてゴールまで残れないという最悪の事態は避ける事ができました。

photo by Cyclowired


第4ステージでも、ゴール40キロ手前の2級山岳のペースアップに耐え抜き、最後の超級山岳までうまくクリスを送り届けました。しかしうちのエースはあのダンシングでよく登るよな(ひとりごと)。最初の山頂ゴールでクラックして自分のリザルトは追求できませんでしたが、クリスで総合勝負というチーム課題のなかではよく役割を果たせました。地味にね。



とまあこのへんが一般的な選手としてのリザルトですが、自分の中でまた未開の地(Terra incognita)にまた脚を踏み入れることができたなと実感しています。

もちろん初めてハイクラスのステージレースを完走したという、自分の中での一歩もあるのですが、最近常々自分が他の選手と異なるアプローチでロードレースに取り組んできたがために、何をやってもひとつの探検であるという感を強くしているから。

日本で選手の育成や枠組みづくりを行なっている人たちからは、どうやったらヨーロッパツアーでよく走ることができる選手の頭数を増やすことができるか、議論が続いています。日本のロードレースはロードレースではなく、できるだけ避けて早くヨーロッパに渡って活動すべきだとか、反対に日本でのプロリーグを充実させて、Jリーグのような体系を目指すべきだとか、意見は多くあります。

そういう中で、自分はロードレースの本質を真剣に見極めようとしてきた人たちと、一つ一つ課題をクリアしてきました。前回ブラバンツ・ペイユの時も、今回のトレンティーノの時も、「おい、正気ではないきつさだが、これ練習でやってきたことと一緒だぞ!だからいけるな!」という確信。

やや穏やかなプロトンでリラックスできるときに、ふと考えることがあります。「この中で19でまともにロードレースを始め、エンジニアリングを学び、ヨーロッパの豊富なレース環境に全く触れずに23までトレーニングをして、フルタイムでレースをするようになって2年とちょっとで走っている選手がいるだろうか?多分いないな」

やっていること全てがチャレンジであり、提案になっています。

そうして、自分なりのチャレンジをしていることを実感するとそれが次のモチベーションとなります。また、多かれ少なかれ選手はひとりひとり違うので、それぞれのチャレンジをリスペクトする気持ちが湧いてきます。

何事も思考停止にならないこと、
批評するよりも、提案して批評される側の方がマシであること、
以上レースを通して雑感でした。

2013年4月14日日曜日

ヨーロッパ遠征3月−4月


皆さん、お久しぶりです。元気ですか?ずいぶんと間が空いてしまいました。

ツアー・オブ・オマーンで中東の地にて、チャンピオンシステムとして初めてレースを走ってから、3月にヨーロッパに渡り、ひと月強の遠征を終えようとしています。予想していた通りの困難あり、予想外のこともあり、しかし良いこともありということで。

オマーン後から3月上旬にコッピバルタリというイタリアの重要なステージレースを走る予定になっていたため、かなり走りこんでヨーロッパに渡りましたが、土壇場でチームの出場がキャンセルになってしまいました。しかも今年のヨーロッパは非常に寒く、拠点のベルギーは雪・雪・雪でトレーニングが思うようにならず、かなりコンディションを落としてしまいました。一昨年のシマノの時とえらい違いだ。写真、3月半ばですよ。信じがたい。


そのまま極寒のフランスで、ワンデー2連戦に挑んだのですが、初日のロワールアトランティックのあまりの寒さに気が狂いそうになり(残り1ラップでDNF。。。)翌日もその疲労を引きずってDNF。さらに左指の腱鞘炎にもいささか苦しみました。この頃になると、(渡欧後2週間ほど経過)あまりの日の差さなさと、寒さに気持ちも沈みがちになり、こりゃいかんわな。。。という感じになってくる。雨・雪と冷蔵庫の中みたいな気温で思うようにトレーニングができない。ここで貴重なヨーロッパ遠征を無駄にするにはいきません。

そこで、同じヨーロッパとはいえ、まだまだ天候のマシなフランス中部の某所に2週間ほど滞在して再起を図ります。
フランス某所の素敵な道たち

天候が人に与える心理的影響というものを思い知りました。この2週間でひたすら登り、時間と距離を乗り込んでリンブルグクラシック(オランダ、ワンデー、1クラス)に出場。気温2度で雪がちらつく中、またもラスト30キロでぶっちぎれ、DNFを食らうも、序盤のエスケープに加わりかけたり、中盤での牽引、後半のアタック処理など、良い仕事をしてチームからも評価してもらえる動きで、これまでよりかなり前向きな内容でした。

リンブルグクラシックの地図
精神衛生もかなり向上して、このレースの後にもトレーニングの手綱を緩めることなく、特にジロ・デル・トレンティーノ(イタリア、ステージ、HC)を視野にいれて質も量もトレーニングを最高潮にもってきました。拠点近くの練習向きの道路も徐々に開発が進み、インターバルも快適に。

で、今週の水曜日にブラバンツ・ペイル(ベルギー、ワンデー、HC)に出場。ベルギーの春先のワンデーはFlanders Classics、すなわちフランドルクラシックと呼ばれる6つのレース(Het Neuwsblad, Dwars Door Vlaaderen, Gent-Wevelgem, Ronde, Scheldeprijs, Brabantse Pijl)からなりますが、そのうちの一つで、レース単体で非常に重要なレースです。さらに日曜日にアムステル・ゴールドを皮切りに始まる、アルデンヌクラシック3連戦を占う意味でも注目を集める試合----(と試合に行ってから気づきました。)正直あまり期待せずにスタートしたものの、リンブルグでなにかカチンとスイッチが入った感があり、位置取りなどの思い切りもよく、首尾よくラスト30キロぐらいまでそこそこに足が残った状況で生き残りました。周りもきつそうで、おっしゃこれでラスト自爆覚悟でテレビに映ったるで!と考えていたら、最終周回に入った直後の登坂でものすごいペースアップがあり、中切れをかき分けまくっていたものの(やっぱ位置取りが悪い)、あともうちょっとの所でセレクションに残れず。しかしながら第2集団でしっかりと完走しました。ちょっと感慨深いものが。。。

火曜日からはトレンティーノが始まります。

最近お気に入りの道