都貴:でもなんだかんだいっても、遠くから引っ張ってくる腕の力を利用するために、低くて遠くにしたりとかやってるから、腕も筋肉ついているし、使っているんだろうな。
西薗:確かに腕は筋肉ついてますよね。使ってるんだろうな(と西薗の倍ぐらいの太さがあるんじゃないかという腕をみやる。)
都貴:うん、使ってるんだ。
西薗:学生の時からそんなに腕が太かったんですか?
都貴:いや、学生の時はどっちかといえば、コンパクトなローラーで回しやすいようなポジションにしてたから。
(ここでちらりと重要なことをいっているのだけど、都貴さんの考え方としてはローラーで出力が出しやすいポジション=実走で最適なポジションではない。ローラーの場合は車体が固定されているという、制約条件があるので、その分の補正はかならずあると思っていて、自分がまとめた限りでは、「バイクのしなりを利用して、重いギヤをかけるほうが出力が楽に出せる」というのが一番の根幹にある)
西薗:ふーん。それはヨーロッパツアー特有の、すごく流れる、とにかく高速で、ギヤをかけた方が有利になるレースに対応するためということですね?
都貴:うん。向こうに行った時にどうにもこうにもいかなくて、ローラーで回しやすいポジションを取っていても、どうやったってそんなギヤを回してらんねーよという結論にいたる。スピードが全く足らないとか。で、じゃあどうやったらギヤを楽にかけられるかというところにいって、そういうところから、じゃあサドル高をいじったり、ハンドルをいじったりしてきた。それで体感的にも結果的にも出てきた時には、サドルもある程度高く、(代表的な股下とサドル高の比率である)0.885よりも高くなってきたし、ステムも昔は100mmとか90mmとか使っていたのを120mmを基本にして、ってのをやってきて、レースで余裕も出たし、結果も出たから。
西薗:でもそれが日本で通用するとは限らないのが難しいですよね
都貴:そう、同じ事を日本のレースでやろうとして、成功したためしもないから。(北海道が例外。北海道はコース的にヨーロッパツアーのレースの感じに近い)だから、俺が周回レース苦手で、ストップ・アンド・ゴーが激しいレースが苦手なのはみんな知ってるしね。そこにいちいちポジションを作ろうとしてないってのもあるし。そういう探し方をすれば、日本にあったポジションってのもあると思うんだけど、なかなか大変だよ笑 みんながみんなヨーロッパツアーを走るわけじゃないから、自分の目標とするレースに合わせればいいんだと思うよ。
とまあ、都貴さんの凄まじいポジションにはそれなりに秘密があるのです(キリッ)
無茶苦茶に見えるのだけれども、またがらせてもらうと異様に体幹が安定して、力も出るという謎のポジション。そのバックグラウンドはまだまだありますが、とりあえず連載終わり。